その男ゾルバ 〈特別編〉 スタジオ・クラシック・シリーズ [DVD]
子供の頃見た時は、未亡人のミステリアスな魅力に、すっかり
惹かれてしまいました。
でも、おとなになって見直すと、なぜか、マダムの方が、だんぜん
かわいいと思ったので、自分でもビックリ。
そういえば、私自身、マダムと同じくらいの年になっていたのです。
ゾルバに看取られて息を引き取るマダムのなんと幸せなこと!
ゾルバも、いいですね。
邦題も素敵です。
その男ゾルバ [DVD]
「道」とならぶ、アンソニー・クイーンの代表作であり、大好きな映画だ。もう40年近くたつのではなかろうか。英国から頼りない青年作家がギリシャにやってくる。たしかクレタ島だったと思うが、そこで何か事業をと考えているが、偶然、知りあった男、ゾルバをアシスタントとして傭う。こうして、二人の不思議な日々が始まる。ギリシャがいまよりもっと貧しい時代の話。酒飲みで、女好きなゾルバだが、明るく、憎めない性格。それに対して真面目でおとなしい青年作家。不思議と馬が合う。このコンビに島で暮らす老いた淑女が加わり、物語は展開する。ヨーロッパの田舎の土の臭いがするような映画で、ギリシャ音楽と相まって、魅力的な情緒を醸し出している。どんな事業を始めるか。ゾルバが考えた事業はアイデアとしてはなかなか面白いのだが、一瞬にして崩壊してしまう。青年作家は金を使い果たし、事業の夢は無残な結果となる。しかし、ここからが愉快になる。本来なら深刻な状態なのに、二人はあまりにも無残な結果に笑い転げる。事業が終われば青年作家は英国へ帰る、ゾルバともお別れだ。そこで青年作家はゾルバにギリシャ・ダンスを教えて欲しいという。海辺で男二人がギリシャダンスを踊る。このシーンが素晴らしい。アンソニー・クイーンが男の色気を発散しながら、ギリシャ独特の哀感ある音楽に合わせ踊るラストシーンは何度見ても感動する。アンソニー・クイーンははまり役で、いま見てもまったく色褪せない名作と思う。
愛と青春のシネマ年鑑(2)哀愁のヨーロッパ映画ベスト
中でもお気に入りは「太陽がいっぱい」(アランドロン)「鉄道員」(イタリア映画)「太陽はひとりぼっち」「冒険者たち」(アランドロン)です。
残念ながら映画はテレビでしか見ていませんが、特に「太陽がいっぱい」「冒険者たち」は、昭和48年頃、大学生活と住み込みのアルバイトを高校卒業と同時に始めた20歳前の多感な私の身体に、文字とおり焼け付くような強烈なインパクトを与えました。私はアルバイトでもらったわずかの金でレコードプレーヤー(モノラル)を買い求め、500円で買ったレコードは「太陽がいっぱい」(サントラ盤)と「冒険者たち」(裏面が太陽はひとりぼっち)でした。田舎から都会に出て希望と不安に満ちながら6畳一間のわびしい部屋で一人むさぼるように聴いていました。
曲を聴くたびに、アランドロンの強烈な上昇志向に自分自身を重ね合わせていたあの当時の自分の姿が思い出されます。
「太陽がいっぱい」はよく映画音楽CDにありますが冒険者たち、太陽は一人ぼっちはあまり見かけないようです。今度はできればサントラ盤で発売してもらいたいです。
ベスト・オブ・スクリーン・テーマ
往時のサウンドトラックに絶対的な価値観をお持ちの方にはお勧めできませんが(かなりアレンジを変えてある曲もあります)、例えば車中で聞くといった用途では充分にイメージを楽しめる内容です。もちろん演者も一流ですので「映画」に対する思い入れがそれほどない方には充分すぎるほどの「一流の演者による名曲」を楽しめると個人的に思います。
その男ゾルバ (東欧の文学)
二の足を踏む人も多いと思うが、なかなか面白い小説なので、買うことをお勧めする。カザンザキスが三十代の時体験した事実を基に書かれたもので、ゾルバという男の含蓄に富んだ言動の数々が印象深い。特に女に対するふるまいが、ゾルバと「私」とでまるっきり違っていて、笑ってしまう。ギリシャの、とりわけクレタの風俗を知ることができるのも貴重だ。